移乗動作の定義や起こり得る生活障害、福祉機器について

福祉機器

健康な時は特に意識せずに今いる場所から違う場所まで移ることができますが、身体の機能に障害を持つとその当たり前の動作が困難となってしまいます。
その結果、様々な日常生活上の弊害につながってしまうため、早急に解決する必要がある課題ともいえます。

本記事では、“移乗学”と題して、その定義や目的などについて解説します。

移乗動作とは?

では、まずこの“移乗”とはどのような定義になるのでしょうか?
一般的には…

乗り移りをする際の動作

…とされます。

ただし、リハビリテーションの現場でははやや広く解釈し、

今いる位置・姿勢から近辺の別な位置・姿勢に移る動作

…と姿勢の変化も伴う動作を含んで定義することが多いようです。

移乗動作困難は動作の連鎖障害を起こすという考え方

人が今いる場所から移る際の動作は、姿勢変換を含めて非常に連鎖的な動作で成立します。
この移乗という動作が困難になるということは、この連鎖的な動作の障害と同義であるという考え方が、リハビリテーション(特に作業療法)としての支援をする際重要な視点になると思います。

移乗動作障害が引き起こす4つの生活障害

この移乗動作が困難になった場合、どのような生活上の障害に発展するのでしょうか?
主なものとしては…

  • 日常生活動作の介助量の増大
  • 廃用症候群の進行
  • 認知機能低下の進行
  • 社会参加機会の喪失

…などがあげられます。
以下に詳しく解説します。

日常生活動作の介助量の増大

移乗動作ができないとなると、トイレに行くのも、車椅子に乗るのも介助を要することになります。
そうなると、介助量は大きくなり結果として介護者の負担が増大してしまいます。

廃用症候群の進行

「今いる場所から移ることができない」ということは、姿勢変換をする機会、下肢で支持して立ち上がる機会などの喪失になります。
これは筋力の低下を招き、廃用症候群の進行につながってしまいます。

移乗動作の困難は“寝たきり”の状態を作る大きな要因となり得るということです。

認知機能低下の進行

移乗動作ができないということは、視覚にせよ聴覚にせよ入力される感覚が限定的になってしまうということです。
これは高齢であればあるほど、認知機能の低下の進行を招いてしまいます。

もちろん、移乗動作が困難で寝たきりの状態でも、環境の設定や様々な感覚刺激を入力する機会を創出することで予防にはなります。

社会参加機会の喪失

移乗動作が困難になるということは、社会参加機会を失うことになるという視点も忘れてはいけません。
人は社会的な動物である以上、何かしらの役割を担う必要があります。
移乗動作が困難になると、その社会参加、役割の創出の機会を無くしてしまうことになり得ます。

移乗動作の支援で福祉機器を使用する意義

移乗動作に限らず、リハビリの基本にもつながりますが…

  • 自分でできることは自分でする
  • できない部分は人力、福祉機器、環境整備のいずれかで補う

…という発想が必要になります。

あくまでリハビリは“自立”を促すためのものです。
これは言いかえれば、「他人の手を借りずに自分で解決する」ことになります。

この解決策を一緒に模索するのがリハビリであり、作業療法だと思います。

…そう考えると、“自分でできることは自分でする”という発想はもちろんですが、
その次のステップには、人力による介助ではなく、

福祉機器や環境整備によっていかに“自分で”解決するか?

…という発想が重要なのかと思います。

移乗動作が自立ではない→介助によって移乗が可能

…というプロセスではなく、

移乗動作が自立ではない→福祉機器や環境整備によって自立できる

…というプロセスにまず向かうように支援することが重要なのかと思います。

この発想はFIMで言えば、7点(自立)の次が、
6点(補助具があれば自立)…という採点方法を取っていることからも頷けるかなと思うんだ!

まとめ

本記事では、移乗動作の定義やそれに伴う生活障害について解説しました。

移乗動作の障害は…

  • 今いる位置・姿勢から近辺の別な位置・姿勢に移る動作の障害
  • 移乗するということは、姿勢変換を含める連鎖的な動作と考える必要がある
  • 移乗動作ができないことは、様々な日常生活上の障害に発展し得る
  • 移乗動作に限らずリハビリの基本として、どのように自立できるようにするか?という発想が重要
移乗動作そのものにフォーカスするだけでなく、それに伴う弊害にまで発展的に考える必要がありますよね!
極端に言えば、「移乗できなくても生活上問題ない支援の方法」ってのも一つの選択肢ではあるけどね!
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